山ノ神社 小屋コ焼き2017

2017年12月12日
前回の山形県真室川町での番楽フェスティバルから約2ヶ月ぶりの伝統行事鑑賞だ。
季節はすでに冬。ということで、これからしばらくは雪や寒さのなか、行事・お祭り鑑賞をすることになる。
そして今冬最初の行事は横手市の山ノ神社 小屋コ焼き
昨年も鑑賞した行事であり、どういった内容なのかは知っている。
円錐状に組んだ丸太に藁をかぶせて火をつける、という至極シンプルな行事なのだが、ここしばらくこのような素朴な行事に触れることがなかったので、迷わず鑑賞を決めた。

行事当日を迎える。
この行事は土日祝日に関係なく、必ず12月12日に行われる。
仕事が終わったのち、秋田南ICから秋田道へ乗って行事の行われる横手市城野岡を目指す。
それにしてもこの日はとにかく風が強かった!
ただ、同じ秋田県内でも沿岸地方で強風が吹き荒れていても、内陸地方は全く無風ということもよくある。
なので、ハンドルを取られることなく慎重に運転しようということ以外気にしていなかった。このときまでは‥
6時には最寄りの横手ICの一つ手前の大曲ICに到着
高速料金節約の意味もあり、大曲ICで秋田道を下りて国道13号線に乗る。
と、秋田道を下りてあらためて気づいたのだが、比較的強風が吹くことの少ない県南地方もかなり風が強い。
これはおかしいなあ‥などと思っていたら、その影響でちょっとした渋滞になっており車が進まない!
あちゃー、ケチなことをせず横手ICまで行っておけば良かった‥とも思ったが、一度国道に下りた以上秋田道に乗りなおすのもあまり得策ではない、ということでノロノロと車を進めることになってしまった。
で、国道13号線を外れて城野岡地区を目指したが、現地到着はほぼ7時という有様だ。
これはいかん、急げ!とばかり車を止めて、小走りで神社境内を目指す。

悠長に写真撮ってますけど、このときは結構焦っていました。

で、もう少しで神社に着くというときに‥、あっ火の手が上がった!
山火事発生の瞬間をカメラが捉えました!とかそういうことではない。

境内到着前に小屋コに火が点けられたのだ。
あー、行事開始に間に合わなかった!

境内に入ると‥

小屋コが燃え盛ってます。

前回の記事にも書いたが、この行事はもともと小屋コの中に子供たちが入って遊んでいるところに、大人たちが火を放ちそれを子供たちが必死に消そうとするも結局小屋コが焼け落ちてしまう、という一連の動作が起源となっている。
今は子供たちと大人たちの攻防はなく、小屋コに火を放つという部分が行事の始まりとなっている。
なので、火を点ける瞬間が重要であり、そこはぜひ見ておきたかった‥orz

小屋コをあらためてよく見ると‥


ん?点火から5分ほどしか経っていないが、明らかに火の手が弱く、すぐにでも消えてしまうような様子
これはどうしたことか‥
地元の方に伺ったところ、保管していたワラが一部濡れてしまって使い物にならなくなってしまったらしい。
なので、ワラの量が平年よりかなり少なめなのだそうだ。
また、この日の日中はこのあたりでもかなりの強風だったようで、夜になってもやや強い風が吹き付けており、ゆえに火の上がり方があまりよろしくないのだとか。

炎を見守る地元の方々
火を扱う行事なので消防団の方も3名ほど待機


昨年はたしか、20人ぐらい集まっていたのに対し、今年は10人ほど
どう考えても、夜になってもやまない強風のせいで観覧を控えようと多くの人が判断したとしか思えない。
風なんなんだよー、どこまで我々を追い込むんだよー
そんな中、管理人が去年もこの行事に来たことを覚えていて、声を掛けてくださった方がいたのは嬉しかった。

この行事は全国に広く分布する、どんど焼き行事の一つと捉えてよいと思う。
県立図書館で借りた、秋田県教育委員会編集「サエの神行事 -秋田県指定無形民俗文化財『上郷のサエの神行事』-」に県内の主だったどんど焼き行事のリストが載っていた。
美郷町の「六郷のカマクラ」といったメジャーどころも載っているが、ほとんどは存在すら知らないものばかりだった。
で、その中にこの小屋コ焼きも「山の神火祭り」という名称で掲載されているのだが、小屋コ焼き以外の開催日がほぼ全て小正月の1月15日なのに対し、この行事だけが山の神の日である12月12日となっている。

これが神社本殿

本殿内はこんな様子

暗闇に蝋燭の炎がボーッと浮かび上がって幻想的だ。

そして、美しいといえば個人的には‥

燃え盛る小屋コの背景遠くに見える横手市街地の明かりにも、心なしか風情が感じられる。

10分もすると、火はほとんど消えそうな勢いだ。


去年は結構長い時間火がついていて、ボーッと小屋コが燃えるのを眺めているだけで、なんとなく癒された心地になったのを覚えている。
小屋コを包む炎の効能とでも言おうか。
実際、火には規則性と不規則性が調和することで生じる「1/fゆらぎ」と云われるリラックス効果があることで知られている。
だが、今年は癒しを感じる間もなく火が消えかかってしまっている。

先に「12月12日は山の神の日」というようなことを書いたが、前回の番楽フェスティバルの記事化に際して県立図書館で借りた「やまがた民俗文化伝承誌」によると、12月12日は正確には「山の神のお年越し」なのだそうだ。
そして、秋田が誇る民俗学研究の第一人者 齋藤壽胤先生の著書「あきた風土民俗考」によると、年が明けて2月9日が山の神の木種下ろしの日で、2月16日が山の神が田に降りてくる日ということらしい。
普段の生活で、山の神がどうしたこうしたということを意識することはないが、この日ぐらいは山の神に思いを馳せて、私たちの命を繋いでくれる食糧の恵みに感謝したい。

火は今すぐにでも消えるような様子だが、完全に消えるまでは消防団の方々も目が離せない。

そして開始から20分。ほとんど火は消えた。


これぐらいの火ならば、見張ってなくてもあとは自然と消えるだろう、ということで行事はお開きとなった。
境内に残っていた人たち4~5名もおのおの神社をあとにする。
管理人も秋田市へ帰るとしよう。

最後にもう一度城野岡地区を写真に収める。
雪が積もっているので当然寒いのだが、それでも夜明かりに照らされた景色はとても素敵だ。

皆さんはどんな心持ちでこの時期12月を過ごされているだろうか?
実は多くの北国在住の方が同意してくれるんじゃないかと思っているのだが、管理人的には「これから長く辛い冬が始まるのかあ‥」と憂鬱な気持ちで12月を迎え、過ごしている。
実際に雪が積もる1~2月ともなれば、それほど気持ちが沈むこともなかったりするものの、とにかくこの時期は雪の多い少ないとは関係なく、暗いトンネルの入口に立つがごとく気分が晴れない。
そんな陰鬱さのなかに差す仄かな灯のように、慎ましく行われる小屋コ焼き
ほっこりと温かい気持ちにしてくれる、2時間かけても駆けつける意義のある素敵な行事だ。
来年、再来年、そしてその先も人々に温もりを与え続けて欲しい。


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