角館の火振りかまくら

2019年2月14日
先日の刈和野の大綱引きに続いて今回も伝統の小正月行事「火振りかまくら」
仙北市角館にて2月13・14の2日に渡って開催されていて、13日は桧木内川沿いの桜並木駐車場を会場として観光用として開かれているのに対し、14日は町内単位で行う伝統のスタイル。
という訳で当ブログの主旨からすると14日のほうを見に行く、というのが必定の流れなので迷わずその日の鑑賞を決めた。

当日を迎える。
14日は平日のため、管理人は仕事を終えて秋田市から向かうことになる。
17時に仕事を終えて、そこから一路角館へ向かえば18時には現地に着くはずと考えていたのだが、残業をする羽目になってしまった。
そのうえ、冬道での車の走行は予想以上に時間がかかってしまい、角館についたのは19時前。
「いや~、これはまずい。火振りかまくら、終わったかなあ、、、」と暗い気持ちで角館の街中を歩く。

何年か前に一度この行事をみたことがある。
そのときには18時ぐらいに街中のほうの町内から順次始めていって、最後は桧木内川べりに陣を構えた町内が行って終わり、みたいなかんじだったが、そのときの記憶を基にするととっくに街中のほうの町内は終わっているはずなので、まずは桧木内川に進んでみることにした。すると‥

おおっ、やってました。もしかすると完全終了かも‥とかなり不安だったので、ほっと一安心。川べりへと降りてみる。

焚き火の火を炭俵へと移し、それを頭上で振り回す。


火を振り回す豪快な行事ではあるが、雪の積もるなかで行われる様は静謐さを漂わせている。
県内各地で行われているカマクラ行事にいろいろ種類あれど、火振りかまくらはあまり見かけない。
以前NHKで放送された「秋田ミンゾク大全集」によると、行事でつけられる火は町を清め災いを払うとともに、神が炭俵を神座として下りてくるとされていて(神座⇒カマクラの語源説あり)カマクラ行事には欠かせない要素だったが、時代の変遷とともに見られなくなっていったそうだ。
そう言った意味ではこの火振りかまくらは原初のかたちを残す貴重なものなのだろう。

幻想的な様子


行事のあとに七日町丁内の男性から伺ったところによると、今年は全18町内が火振りかまくらを行ったそうだ。
特に開始時間が決められているわけではなく各々の町内がめいめい行うそうで、数年前に訪れたときの記憶と合わせるとおそらくは桧木内川沿いで行われているのが最後のほうの町内だろう。
また、男性からは炭俵の製作がけっこうたいへんで、藁ではなく代替素材への切り替えを検討中であることなども教えていただいた。
おおよそ6~700個の炭俵が必要とされているが、それらは当然全て手作りとなる訳で、考えるだけでも気が遠くなる。

きれいですね。


1990年代より始まった、13日に行われていた観光用の火振りかまくらのほうは今年を以て終了することになった(注:一旦は終了と決まったものの、来年以降続く可能性もあり)。
そちらのほうは仙北市が運営する観光行事、14日のほうは各町内が自主的に行う行事としてきちんと住み分けされていたものだが、先述の男性に教えていただいたところによるとやはり炭俵の確保が難しくなってきているのがその一因らしい。
以前はたくさんの炭俵を用意しても少し余るぐらいだったものの、近年は観光客、特に外国人観光客が増えたことで炭俵が足りなくなる傾向にあり、それならば‥ということで13日のほうを取りやめる流れになったそうだ。
たしか、13日のほうは秋田新幹線の運行開始に合わせて沿線である角館の観光活性化を目的として始められたと記憶しているが、ある程度の集客が今後も見込めるのであればその用を終えたとも捉えられる訳だ。
なお、男性によると外国人観光客は何故かインド、ロシアの方が多いとのこと

見始めて20分も経たないうちに終了となってしまった。


あれだけ燃え盛っていた炭俵の火が少しずつ減っていき、祭りのあと感を帯びてきた。
もともと管理人が遅参したのがまずかったのだが、僅かではあるものの行事を見ることができてラッキーだった。
来年はちゃんと行事の始まりから見ようと心に決めて、角館をあとにした。

街中の様子

ということでミニレポートのようなかんじにはなってしまったが、伝統の火振りかまくらを(一応)見ることができた。
希望すれば火振り体験もできる訳で、アクティビティ的な面白さも持ち合わせた、素朴で楽しい行事でもある。
13日のほうを来年以降も続けるかどうか、という問題はあるにせよ、14日については今後も間違い無く行われるはずであり、火祭りとしてのカマクラ行事の要素を色濃く残す、この貴重な行事にこれからも注目していきたい。

※地図は七日町


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