アメッコ市2021

2021年2月14日
例年であれば小正月行事が目白押しのこの時期
コロナ第3波は収束傾向にあるが、まだまだ予断を許さない時期であり、多くの行事が中止になってしまった。
そんな2021年、規模は大幅縮小とはなったものの、例年通り2月第2土・日曜日のスケジュールで開催されたのが今回のアメッコ市(2022年は中止)
個人的には2018年、2019年に続いて3回目の訪問となる。

8時30分に自宅を出発、ちょうど2時間で大館市内に到着。付近の駐車場に車を止めて、会場を目指す。
長木川にかかる橋から望む鳳凰山。お馴染みの風景です。

会場に到着。入口でコロナ対策の検温が行われています。

秋田魁新報によると「例年は、同市長倉の交差点から新町の交差点までの約400mの範囲で行っていたが、本年度は感染対策として規模を縮小。例年より約4割減となる大町の秋田銀行大館支店から新町交差点までの245mで実施するとした」とのこと。また、例年であれば2日間で10万人を集める行事ではあるものの、今回は最大収容人数を5000人に限定するために、検温と同時に収容人数のカウントも行われていたようだ。

会場内へIN。思っていた以上にお客さんに溢れていたが、心なしか以前訪れた時よりは少ない。


枝アメを飾るミズキが立ち並ぶ。
大館市は平成29年に歴史的風致維持向上計画の認定都市となっている。認定を受けるにあたり作成された計画書のなかにはアメッコ市に関する報告も記載されていて、そこには「地元紙『北鹿新聞』には、昭和20年代からアメッコ市の記事や広告が掲載されており、昭和26年(1951)頃から『飴の木』『芝の枝に赤い飴』『南天の赤い実』という表現が登場する。これが現在の枝アメにつながっているものと考えられる。枝アメは、この頃からアメッコ市の人気商品で、大人も子供も枝に付いたアメを手にぶら下げて歩いていたようである」と記されており、暗い冬景色の中にあって鮮やかな枝アメが大館市民の心の癒しになっていたことが想像できる。

多くの露店が連なっている。


カラフルな飴があちらこちらで売り買いされる様子もこの行事の風物詩だろう。
例年ならば100軒ほどの出店があるが、会場規模が縮小された関係で今年はその半分ぐらいらしく、さらにステージイベントや秋田犬パレードなど密が予想されるイベントは概ね中止となってしまい、こちらも例年とは大きく異なっている。
それでも店主とお客さんたちのやり取りする姿は以前見た様子と変わることはなく、コロナの制限を受けながらも来場者みんながこの行事を楽しんでいるのが伝わってきた。

青空に映える枝アメ


先に紹介した、歴史的風致維持向上計画によると「大館菓業百年祭記念誌(昭和 60 年(1985))によると、枝アメは、餅を細い木の枝に付けて神棚などに供える『餅花』をヒントにして作られたもので、昭和20年代半ばに登場したといわれる」とされている。
では、餅花とはどのような風習なのかと言えば、イラストレーター 堀川波さんの著書「和の暦」では「1月1日に門松を飾るように、日本各地には1月15日に『餅花』を飾る風習があります。餅花とは柳やミズキの木に餅やだんごを飾って豊作を祈願するもの。たわわに実った稲穂を表現しています」と紹介されていて、全国的に見られる予祝行事(その年の豊作を祈って、小正月などに秋の豊作の様子を模擬実演する呪術行事 ※コトバンクより)であることが分かる。


また、「和の暦」には「お正月飾りを燃やす『どんど焼き』という行事のときに、ミズキの枝にだんご(餅花)をさして、あぶって食べます。この団子を食べると、1年間病気にならないといわれているそうです。単純に、かわいくて好きだなーと思っていた手作りの餅花は、農家の大切な小正月の予祝行事だったことを知りました。お米を作る農家では五穀豊穣を願い餅花飾りを、養蚕家ではたくさんの繭がとれるよう繭玉飾りを作ります」とも書かれている。
いろいろな文献やサイトを調べたところ、アメッコ市の枝アメに五穀豊穣、豊年万作といった願いが直接的に反映されてはいないようだ。
ただ、「飴を食べると風邪をひかない」といった素朴な信仰がこの行事の下地になっているわけで、餅花飾りの精神性と根底は共通していると思う。

南端となる新町側に設置された鳥居と社殿


多くの人たちが参拝を行う。
この社殿は普段は大館神明社に保管されていて、アメッコ市の際に大通りに運んでくる、と以前現地で伺った。
また、この行事には旧田代町の田代山神社に祀られている「白髭大直日大神」が飴を買い求めるために足を運ぶことで知られているが、白髭大直日大神がわざわざ遠方(GoogleMapで計測したら33kmありました)から訪れてまで飴を食べるぐらいに、いにしえの人々にとって風邪をひかず健康でいることがいかに重要だったか伺い知ることできる。


先の、白髭大直日大神の事だと思うが、大館市史には「アメッコ市には、山人も山から飴を買いに来る。その足跡を隠すために吹雪を吹かせるので、12日(※管理人注 以前は2月12日に行われていた)のアメッコ市はきまって荒れる日になっていた」とあるものの、管理人がこの日を含めて計3回訪れた中では吹雪どころか雪の降ることは全くなかった。
特にこの日は気温が10度超えほどに上がり、思わず汗をかいてしまうぐらい。
凍てつく寒さの中、枝アメの鮮やかなピンク色に仄かな春の訪れを感じ取るのがこの行事の風情だと思うが、様相が変わりつつあるのだろうか。


いろんなタイプの飴が売られている。
本来飴は穀物を麦芽発酵させてから水飴状にして作られていたとされている。おそらくは本当に何の装飾もない「飴玉」が原初のかたちだったと想像するが、徐々に変化を遂げていき、近年には動物や人形をかたどった飴が出始めて、今ではキャラクターものの飴が人気を博すほどになった(事実、人気キャラクターをかたどった飴を売る露店には子供たちが群がっています)。
しかしながら、必要以上の派手さはなく、素朴なかわいらしさが前面に出ているのは、ガラス細工に似た工芸品的な味わいがあるからだと思う。

30分ほど歩いた。そろそろ会場を後にします。


コロナのせいで規模縮小とはなってしまったものの、それでも例年とそれほど変わらない行事の様子を見ることができた。
春を運ぶ鮮やかな色の枝アメ、通りを楽し気に闊歩する人たち、露店の前で品定めをする子供たちの可愛らしい表情‥
残念なことに2022年はコロナ第6波の影響でアメッコ市は中止になってしまった(2021年の記事を2022年に書いています。遅くてごめんなさい🙇)が、それでも出店予定だった市内の菓子店で飴の販売が行われ、たくさんの人たちが買い求めたことからも分かるように、大館の人たちが大切にする行事・風習なのだと思う。
2023年にはコロナが収束し、通常開催されるのを期待したい。


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

CAPTCHA