和田の作踊り

2016年8月17日
盆踊りシーズン真っ只中に、秋田市内からすぐの旧河辺町和田で行われる「作踊り」
「作踊り」ってどんな踊りなのよ?との謎を解消すべく、ネットで調べるもののほとんど情報が見当たらない。
いまでは大抵の行事はyoutubeで探せばすぐに見ることができるが、動画も全くなかった。

どんな振り付けで踊るのか?
どんなお囃子で踊るのか?
そもそも今も続いている?
この踊りを知るに至ったのは、県立図書館で借りた秋田の祭り・行事
逆に言うと、この書籍以外に和田の作踊りに触れる機会はなかった。
因みに「秋田の祭り・行事」を読むと「熊野神社祭典の日、夜7時から9時頃まで和田本町で浴衣姿で踊られます」との紹介文とともに、黄色い浴衣姿の踊り手の写真が添えられている。
また、「豊年祈願と予祝の歌や、ほかの民謡も取り入れて踊られます」だそうだ。
とは言え、あまりに情報が少なく開催の信ぴょう性もちょっと危うい‥

ということで一週間ほど前に現地へ行って下調べをした。
どこで下調べするべきかよく分からず、秋田市役所河辺サービスセンターへ行って尋ねるも、踊りは行われているようだが日にちはよくわからない、詳しいことは町内会で聞いて欲しいとのことだった。
そこで盆踊り会場とされている和田駅前の本町通りで情報収集したところ、お菓子屋松月堂の店主である佐々木さんが詳しいとのこと
早速松月堂を訪ね、話を聞いてみる。
アポなしの急な訪問にもかかわらず、たいへん丁寧な説明をしてくださった。
開催日は毎年8/17・18の2日間で、夜7時30分~9時まで本町大通りで踊られるとのこと
ちなみに、雨の場合には中止になるそうだ。
どうやら佐々木さんは和田の作踊りの普及のため、これまでいろいろな活動をされたらしい。
そのようなことから、これから作踊りをどのように継承していくかについても思案を重ねている様子だった。
やはり、秋田市内といえども規模の小さなお祭りは存続の問題がついてまわるのだろう。

また、「秋田の祭り・行事」を読むと「統前町は上・中・下の3地区」と書かれているが、今年の統前町は下町とのことだった。
「統前町」とはそもそも何だ?と思いネットで調べたら、秋田市の土崎港曳山まつりにおいてその年度に祭り全体を取り仕切る町内をいう言葉だった。
そして、佐々木さんは作踊りとドンドコドッケとの関連についても話されていた。
ドンドコドッケとは土崎港曳山まつりの戻り曳山のなかで踊られる盆踊りのことである。
「統前町」との呼称といい、ドンドコドッケといい、土崎と和田のあいだで踊りを通じた何らかの繋がりがあるのは間違いないだろう。
佐々木さんは、作踊りのルーツについてもできるかぎり調べていきたいと仰っていた。
そして、是非作踊りを見に来てください、と声をかけていただいた。

基本的に、管理人は仕事が休みの日にこういった行事に出かけることにしている。
仕事終わりにバタバタと支度して出かけても始まる前のワクワクした気持ちにはなりづらいし、お祭り前の華やいだ雰囲気もあまり感じることができないからだ。
それでもこの作踊りは仕事が終わったあとにのんびり駆けつけても、秋田市内の職場から余裕で到着するし、ある程度お祭り前の高揚した気分も味わえるだろうということで行くことに決めたのだった。
17時すぎに仕事が終わってから少々ダラダラしたが、それでも18時半には会場に着いたのだった。

奥羽本線和田駅
045

駅前のロータリーに駐車する。
福島市から秋田市に伸びる東北地方日本海側の大動脈、国道13号線からわずか200mほどの距離に和田駅はある。
13号線と和田駅の中間ほどに本町通りがあるのだが、13号線のすぐ近くのロケーションというのが嘘のように閑散とした雰囲気で、とてもこれからお祭りが始まる風ではない。
045

警備の方が何人かいたので開催自体は問題なさそうだが、祭り前の高揚感はほぼゼロ
というか、そもそも作踊りに向けた会場設営が全くされていない。
それもそのはずで、この日は台風の影響で昼過ぎまで強風と突発的な強雨が降っていたのだ。
あとから聞いたのだが、やはり天気とにらめっこ状態であり、開催を直前まで決めかねていたそうだ。

それでもポツポツと地元の人たちが集まってくる。
浴衣姿の踊り手も何人か混じっている。
どうやら通常開催ということらしい。
浴衣は白と黄色を基調にした2種類があった。
松月堂の佐々木さんと再会、「今日は楽しんでいってくださいね」と声をかけてくれた。
7時半から踊りが開始するが、会場設営が始まったのは7時頃からだった。
電柱と電柱のあいだに提灯付きワイヤーを張るのがなかなかの難作業で、管理人も手伝ったりした。
045

提灯に明かりが灯り、道路に紙灯篭が置かれると徐々に雰囲気が生まれてくる。
045

急ピッチでの会場設営が終わり、いよいよ始まる幻(大げさ)の踊りに胸も高まるのだった。
そしてほぼ定刻の7時半から踊りがスタートした。
045

045

「これが、幻の和田の作踊りかあ。。」と感慨に浸る管理人をよそに踊りの列はどんどん進んでいく。
管理人も和田近辺の知人に作踊りの存在を知っているか尋ねたりしたが、一様に「知らない」とのことだった。
おそらくは和田本町がメインであり、旧河辺町の人たち皆がその存在を知っているかといえばそんなことはない、ということだろう。
045

045

民謡のオケをバックに2つの太鼓が合わせられる。
太鼓は入れ替わりで叩かれ、地元のお子さんも頑張って叩いていた。
さて踊りだが、たしかにドンドコドッケと振りが似ていると言えなくもない。
唄は、と言えばテンポこそスローだが確かにドンドコドッケの節と同じである。
045

045

動画を見比べてもらえると分かるのだが、この踊りは小休止を入れて次の踊りに入るときに時計回り↔反時計回りを繰り返す形で列が進んでいく。
あまり見たことがないのだが、珍しいスタイルではないだろうか。

こちらの民謡は「河辺音頭」
旧河辺町時代に公募により唄が作られたとのこと
振りも少々異なる。

045

045

途中休憩が入る。
会場に集まっている人全員に飲み物が振舞われた。
管理人もビールを勧められた。
このあと運転をするのでこのときは缶コーヒーを頂いたが、帰り際に「持って行って!」と缶ビールを手渡されたのだった。
ありがとうございました。

続いて後半の部が始まる。
「ソーレェ!!」の掛け声にも一段と熱が入る。
045

045

途中から観客が少し増えてきたが、全体的に淡々と進行する。
それでも、太鼓の音は終始力強く、「作踊り」の名称どおり大地を震わせるかの如く響き続ける。
地元の方々も踊りの輪に加わってきて、この盆踊り会場だけ熱量が増しているかのようだ。
045

045

プログラムは9時まで、となっていたが8時40分ほどにいきなり雨が降り出してきた。
踊り手、観客ともに雨宿りのため、建物の軒下やテント下に避難するほどの強雨だった。
とそこで、踊りは終了となった。
途中休憩を入れたとは言え、ほとんど7時30分から踊りっぱなしだったし、不安定な天候の中よくぞここまで雨が降らずにもってくれた、との思いもあり不完全燃焼の感は誰もなかったと思う。
明日も踊るのだし・・
佐々木さんも「明日は天気もいいようだし、今日よりもっと盛り上がるよ」と言っていた。

盆踊り終了後の会場
045

念願だった和田の作踊りを見ることができて、嬉しさも一際である。
このあたりは、秋田市内から非常に近い(秋田の若者たち御用達の御所野イオンには車で10分で着いてしまう)のだが、いわゆる「市街地」ではないし、はたまた完全な「田舎」でもないため、地域の特色を出しづらいのではないかと思う。
そんな中でこの踊りを継承していくというのはやはり難しさが伴うのだろう。
それでも、毎年このように踊り続けられていることは地域の方々の尽力があればこそ、だと思う。

若い世代に踊りがきちんと継承されて、小さい規模ながら地域の人たちの心の拠り所として今後も永く続いていってほしい、と思いながら景品のボックスティッシュ5個を携えて帰路に着いたのだった。


“和田の作踊り” への8件の返信

  1. 8/19に一日市で声をかけていただいた、Mさんの友達です。
    和田の作踊りも行かれたのですね!
    和田へはCD音源ができる前と後の2回お邪魔しましたが、
    佐々木さんには大変お世話になりました。
    最近はご無沙汰しておりましたが、
    記事を読ませてもらいとても懐かしく、
    また行ってみたいと思います。

    1. ふじけんさん
      書き込みありがとうございます!
      一日市では粋なお姿、素敵な踊りを拝見させていただきました。
      和田の作踊りも行かれたんですね、しかも2回も!!
      私は昨年に続いて今年も8/17に行ってまいりました。
      今年は例年会場となっていた商店街から、河辺総合福祉交流センターというところに場所を移して行われました。
      昨年より確実にスケールアップして、活況を呈していましたよー。
      この様子は後日ブログ記事でお伝えする予定ですが、ふじけんさんもまたいつかあの力強い太鼓の拍子に乗せて素敵な踊りをご披露くださいませ!

      1. 確かマックスバリュの向かい側でしたっけ!?
        最初に見たのが其処でまだCDが出来る前で、踊りが始まる前まで東京音頭が流れていて、度肝を抜かれました!(笑)

        1. ふじけんさん
          書き込みありがとうございます。
          そうです、マックスバリュの向かい側です!
          以前はそちらで踊っていたのですね、それは知りませんでした。
          しかも踊りの前に東京音頭がかかっていたと!
          それも知らなかったですう。
          個人的には田子内盆踊りの炭坑節にもびっくりしました。。。

          1. akitafesさん
            田子内盆踊りの炭鉱節では、いつも踊っているのより、払いの動作が1つ多かったです。
            周りと合わないし、合わせると曲とずれるしでしたが、最後は皆さんと同じ様に踊れました。

          2. ふじけんさん
            書き込みありがとうございます。
            払いの動作が一つ多かった、ですか?
            管理人では絶対に気づけない、踊り手の方ならではのご指摘ですね!
            それだけですごいです。
            しかも踊り中にその点を修正して、周囲と同じく踊るスキルの高さ!
            もう尊敬の念しかありません。
            これからもその流麗かつ、繊細な踊りを沢山の人たちにご披露ください。

    1. ありがとうございます。
      地味で目立たない盆踊りですが、味があってとてもいいですよ。
      そして、佐々木松月堂の黒いドーナツ
      こちらも和菓子と洋菓子のミックス的な美味しさがあります。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA