一日市裸参り2018

2018年1月1日
男鹿・相川北浦のナマハゲ行事の喧騒が終わり、いよいよ2017年が暮れようとしている。
そしてナマハゲの勢いそのままに、続けて鑑賞を目論んだのが八郎潟町で開催される「一日市裸参り」
この行事は昨年も男鹿のナマハゲ後に鑑賞しており、2年続けてのナマハゲ⇒裸参りの連投となる訳だ。

男鹿・相川から八郎潟町まで車で40分ほど
ナマハゲ行事は21時前には終わったし、裸参りは23時半開始なのでかなり時間に余裕がある。
が、管理人は恥ずかしくなるぐらいの大チョンボを犯していた!
ナマハゲが終わり、男鹿市中心部で晩ご飯を食べたあとガソリンを給油しようとGSを探したが、どこも開いていない。
遅くまで営業しているGSがあると思っていたが、ないのだ。
参ったなあ‥などと思いながら潟上市まで南下したがやはりどこも開いてない、さらに秋田市北部の飯島あたりまで下ったがそこにもない。
で、結局秋田市中心部の新国道沿いのGSまで戻ってようやく給油できたのだったのだが、その距離管理人宅からわずか2km!
夜も更けてきたし、裸参りを見ずにこのまま帰ることもできたが、それだけは絶対にしたくない理由があった。

この行事は昨年を以て終わりとなり、今年以降は開催されない予定だった。
参加者が減少していることや、真冬の夜中に裸参りをするという体力的な難しさなどいろいろな理由があったらしい。
そんな状況のなか、行事に想いを寄せる若い人たちを中心に実行委員会が立ち上がり、どうにか存続にこぎつけた経緯がある。
行事を救うべく、声を上げ立ち上がった人たちの行動力に拍手を送るとともに、その勇姿をきちんと見ておきたい。
「家の近くまで戻ってきちゃったからそのまま帰ろっか~」なんて、軟弱な理由で行事鑑賞を止めるワケにはいかん。
存続おめでとう!そして頑張れ!の思いとともに八郎潟町へ向かった。

八郎潟町に到着したのは23時半
ちょうど裸参り参加者が水垢離を開始する時間だ。
ふう、どうにか間に合った。
拠点となる八郎潟町一日市防災センター前に行くと、まさに水垢離が始まろうとしていた。

そして水垢離が!
ひゃー冷たそう(T_T)


ナマハゲ行事の最中から雨が降り始めたが、ここ八郎潟でも同じように降っていて、なおかつ風も吹いてきた。
これは辛い!
だが、参加者はテンションが上がっているようで、気合一発!寒さをものともせず水垢離を行う。
付き添いの男性が桶に汲んだ水を1回浴びせ、その後「一日市裸参り」と書かれたドラム缶から自ら水を汲んで2回浴びるのが作法だ。
以前はそれにプラスして、多量の水を入れた大きな水槽が置かれていて、好きな分だけ水垢離ができるシステムになっていたようだ。
昨年の記事にも書いたが、このような寒さの中に裸で身を置くような場合、毛細血管の拡張が促されるようで水垢離は体を温める有効な方法らしい。
そして、1回浴びただけでは効果がなく、複数回浴びることで効果を発揮するらしい。


昨年もこの行事を取材されていた秋田魁新報の男性記者さんと「おー、久しぶりです!」というかんじで挨拶を交わす。
昨年は全行程を裸参り行列と一緒にランニング、終わった頃には汗だくになられていたが、今年はそこまではやらないとのこと
そして今年は31名が参加する、ということを教えていただいた。
おーーー!昨年の15名から倍増じゃないですか!スゴイ!
しかも中学生が2名も含まれているとのこと
以前は参加していた中学生が近年参加を取り止めていた理由については昨年の記事に書いたので省略するが、行事の参加に理解のある親御さんがいて、しかも実際に参加する中学生がいるというのは本当に嬉しいことだ。
このことだけでも、行事取りやめの危機を乗り越え、開催にこぎつけた意義があったというものだ。


全員が水垢離を終えると着替えのため一旦建物に戻る。
この後、鉢巻にサラシ、白短パン、足袋に草履の凛々しい姿を見せるまで少し時間が空く。

樽御輿を担いでの裸参りが、この行事の特徴だ。

樽上のご神体については、行事の象徴として新実行委員長に引き渡された様子が11月の秋田魁の記事に載っていた。
また、昨年の記事で「樽の中身は空」ということを書いたのだが、行進が始まったあとに御輿を担いだ男性を見たところ、その重さで肩のあたりが真っ赤になっていた。
しかもそれを担ぎながら、この寒さのなか走り続けるというのは体力的な負担は計り知れない。
昨年「なーんだ、空だったのかあ‥」みたいな書きぶりになっちゃってて、本当にすいませんでしたm(_ _)m

防災センター入口に門松が飾られました。

時刻は23時55分
着替え終わった若衆が防災センター前で恒例の記念撮影
皆さん、いい顔をされている。頑張ってくださーい!!

スタート位置につく。
午前0時のスタートを待つあいだにも、参加者は気合十分!というか、雨風がとにかくキツかったので気合を入れておかないとこの寒さに対抗できない。
ほとんど皆がブルブルと震える体に鞭打って、己を奮い立たせるかのようにでかい声を上げている。


それにしても‥
前回の記事中、行事存続が危ぶまれている状況を紹介した際に「2018年1月1日も『ジョヤサ!』の掛け声を響かせて欲しい」と書かせてもらった。
そして紆余曲折あったものの、こうして管理人の願っていたことが実現しようとしている。
行事が途絶えるかもしれない瀬戸際を乗り越えて、今またこうして出立の時を待つことがこれほどまでに感慨深いものとは思わなかった。
八郎潟町に縁もゆかりもない管理人がこれほどに思うのだから、実行委員会の皆さん、呼びかけに応えて今回参加した人たちは万感胸に迫るものがあるのではないだろうか。

そして2017年が終わり、2018年1月1日に!
いよいよ出発です!!!頑張れ~

さて、一行はこれから5ヶ所の神社と湖東消防署八郎潟分署の計6ヶ所を参拝しながら巡る。
管理人は昨年結構念入りに下調べを行い、どの神社での行事の様子をみるかをプランニングしたが、今年は‥
1,一日市神社
2,八郎潟駅前通り
3,大川菅原神社
4,太平山三吉神社
の4ヶ所で観覧することにした。
2回目の観覧ともなると、1回目の反省や振り返りをもとにプランを検討できるのが利点だ。

防災センターから歩いて5分の一日市神社へ向かう。
のろのろしていると裸参り一行があっという間に到着してしまうので、近道を使って少し足早に神社を目指す。
一日市神社へ到着。新年のお参りですでに境内はたくさんの人で溢れている。

管理人が到着したと思ったら、すぐに裸参り一行も到着
やっぱ早い!

そして本殿前に整列
こうしてみると、昨年より格段に参加者人数が増えていることがあらためてよく分かる。

そして全員で参拝
一日市地区の五穀豊穣、交通安全や学業成就、家内安全などが祈願される。

一行はこのあと北端となる湖東消防署八郎潟分署に向かったのち、再び八郎潟町中心地へ折り返すことになる。
管理人は、その折り返し途中となる駅前通り付近で一行を待つことにした。
いったん防災センターへ車を取りに戻り、駅前通りへ移動し、駅前通りから中嶋稲荷神社・押切愛宕神社へ続く細い道への曲がり角あたりで待機

このへんは昨年8月に一日市盆踊りを観覧したあたりの場所だ。

一日市盆踊りデンデンヅク踊りの歌詞の中に「♪盆の13日 正月から待ちだ 待ちだ十三日 今来たか」というのがある。
一日市の人たちは今日1月1日から盆踊りを待っているんだなあ、と思いを巡らせたのだった。

そして一行が登場

沿道の人たちから「頑張れ~」の声援が飛ぶ。
足元の水が草履を濡らしており、さぞかし寒いと思うが、それでも皆でジョヤサ!の掛け声を上げて力強く大通りを走りぬいた。
この先アクシデントなどないように祈るばかりだ。

一行が中島稲荷神社・押切愛宕神社を目指すなか、管理人は車で馬場目川を越えて五城目町に入り、大川菅原神社へ向かう。
大川菅原神社は押切愛宕神社から小走りで15分ほどの所にある、唯一の八郎潟町外の参拝場所である。
八郎潟駅前通りからは5分ほどで到着した。
こちらは一日市神社ほどの人の賑わいはない。

相変わらず、風が強く雨もやまない。
そんななかでも裸参り行列の勇姿を一目見ようと、10人ほどの人たちが鳥居前で待機

ところがあまりに雨風が強いため、一行の到着まで我慢できないとほとんどの人が裸参りを見ることなく帰ってしまった。
あとちょっとで来るんだから、もう少し待ちましょうよ~

そしてほどなく一行が到着
気のせいか雨の勢いが増している気がする。

大川菅原神社で参拝


ここ大川菅原神社は八郎潟町内からやや距離があること、途中風を遮るもののない馬場目川にかかる橋を渡ることなどから、一行にとっての最大の関門になっている。
おそらく一行は「大川菅原神社を踏破したので、あとは八郎潟町へ戻るだけ」とばかり、ラストスパートへ向けて心を切り替えたはずだ。
最後のひと踏ん張り、頑張って!

そして八郎潟町へ再度入り、最後の参拝となる太平山三吉神社へ
駅前通りにあるこちらの神社は、秋田市にある太平山三吉神社の分祀により建てられた神社だと思うが、建物はとても小さく気をつけて探さないと見つけられない。
googleストリートビューではこんなかんじ

管理人は一行のあとを車で追いながら、太平山三吉神社へ到着
そして参拝

これで全6ヶ所の参拝が終了!
スタート地点の防災センターへ、最後5分の行進
そして到着しました!皆さん、本当におつかれさまでした!

トータル1時間にわたって走りぬいた参加者の皆さんはこの後宴会に突入するはずだ。
今日の緊張感、疲れを吹き飛ばすぐらいに楽しんでほしい。
管理人も無事に行事が終わった安堵感、行事を観覧できた満足感とともに八郎潟町をあとにした。

途中、参加者1人の草履の緒が切れてしまうハプニングはあったものの、無事に行事を終えられて良かったと思う。
そして昨年に比べて倍以上の参加者が集まったことなどもあり、賑やかで元気な行進が見られたし、昨年のような行事存続に対する不安もなく、明るいエンディングを迎えられたような気がする。
実行委員会の皆さんにおいても予算や参加者の確保などさまざま課題はあると思うが、120年の伝統を守るべくこれからも頑張って欲しいし、来年以降も新年最初の行事として高らかに「ジョヤサ!」の掛け声を一日市の地に響かせて欲しいと思う。


“一日市裸参り2018” への2件の返信

  1. 秋田県全体で人口減少が進んでいるなか、お祭りの参加者人口減少も避けられないところだと思いますが、貴重な秋田のお祭り文化(=無形文化財)が途絶えることなく後世に繋がって行ってくれればと強く思います。
    一日市の裸参りは存亡の機から脱したどころか、参加者増とは恐れいりました。

    1. uxorialさん
      書き込みありがとうございます!
      そうですね、後継者難で途絶えていく行事が見受けられるなか、一日市裸参りのような行事があるのは本当に心強い思いです。
      そして存続の鍵を握るのはやっぱり若い人たちなんだな、ということを実感しました。
      続けることの苦労も多いとは思いますが、一度終わった行事を再び始めることは本当に難しいらしいです。
      何100年も続く伝統行事・伝統芸能が現代に継承されている素晴らしさを噛みしめて、このあとの世代にしっかりと引き継ぐことが大切なのだと思います!

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