本荘八幡神社祭典・大名行列(宵宮)

2016年9月17日
今年の夏は本当に暑かった。
比較的涼しいここ秋田でも30度超えが頻発したうえ、日によっては35度以上という日もあった。
近年珍しいぐらいの猛暑だったが、今はもう9月

秋の気配が訪れるのは早い。
そしてお盆あたりを中心に星の数ほど行われたお祭りも9月になるとひと段落
とはいえ、さすがは国指定重要無形民俗文化財の数が全国1位の我が秋田、9月になっても興味をそそる行事が各地で行われたのだった。
個人的には藤琴駒踊り、米田の根城豊作相撲(ともに藤里町)が気になっていた。
が、9月はなかなか時間が取れなかったうえ、天候にも左右されてしまい、結局今回の記事「由利本荘の八幡神社祭典」しか行けなかった。
それも本祭の18日は都合が悪かったため、宵宮である17日のみの観覧となる。
秋田市から由利本荘市までは車で小一時間で着く。
宵宮当日17日は1日じゅう時間が空いていたので、早い時間に出かけて2時からの八幡神社例大祭から見ることにした。

ところでさっきから「八幡神社」だの「例大祭」だの普通に書いているのだが、そもそも管理人は神社仏閣や祭礼についてよく知っているわけではない。
決して興味がないわけではないし、仮にもお祭りのブログを開設しているのでそれなりに知識を持っていないといけないはずだが、まあ本当に知らない。
さすがにそれは如何なものか?ということで少し勉強してみた。

「八幡神社」とはざっくり言うと神社の種類のひとつらしい(本当にざっくり)。
総本宮は大分県の宇佐神宮
応神天皇をまつる八幡信仰の神社で、全国に8,000社ほど神社がある(日本全国で神社の数は8万前後。今現在の日本の人口が1億2、600万ほどなので1,500人に一つの割合で神社があるといえよう。意味のない計算ですいません)。
神社といえば、ほかによく名前を聞くのが「稲荷神社」
こちらも神社の数は多いそうだが、八幡神社とどちらが多いのかよく分からない。
いろんなサイトを見ても諸説が入り混じっており、よく理解できなかった。
また、八幡神社が祀っている八幡神は武士の神で、稲荷神社が祀っている稲荷神はもともとは農業の、今現在は商売繁盛の神ということらしい。
で、例大祭とは何かというと神社の行う行事で年に1回行う行事でもっとも重要なものとのことだ。
何を行う祭りなのか、何故にもっとも重要なのかはネットで調べても正直よく分からなかった。

由利本荘の八幡神社に話を戻そう。

1時半ほどに由利本荘市内に到着
JR羽後本荘駅近くに車を停めて八幡神社まで歩いて行った。
神社の景色
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2時から祭典が始まる、ということだったが、すでに2時前から神事が執り行なわれていた。
巫女の舞
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おみくじや御札を納めるところにいる巫女さんは若い女性が多いが、巫女の舞は年少の女の子によって踊られる。
そういうものなのだろうか。
因みに男女雇用機会均等法の適用外となるため、巫女を務めるのは女性に限られているらしい。

神事となると奥深すぎて、どういうものか全くわからない。
雅楽でよく聞く例の「ミャ~ミャ~」という笛の音色(あの音をなんと表現したらよいか‥)が響いているイメージで、何やら神妙な気分になるが、まさしくそんな空間だった。
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1時間弱で神事は終わった。
その後は羽後本荘駅から少し離れる形で大名行列の会場付近へ移動
大名行列が始まるのは夜7時半からなので、ずいぶんと時間が空いてしまう。
が、いろいろイベントや催し物が用意されているので時間を持て余すということはなさそうだ。
羽後信用金庫本店に隣接するしんきんプラザにて、大名行列の写真展が開かれていた。
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過去の大名行列の写真が展示されていた。
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看板を見ると左右反転しているような気が‥
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昔の写真を見ていて思うのは、やはり「何だか知らないが活気があるなあ」ということ
地方に元気がないと言われて久しいが、昔は地方に闇雲な上昇志向が横溢していたような気がする。
大人たちがなすべき仕事をなして、子供達が真面目に勉学に励みさえすれば黙っていても生活の質が向上し、地域がより活気づくと純粋に信じられていた頃
今は地域を継続するためのプランや戦略が必要であり、具体的な方策を打ち出せない自治体には衰退が待っている。
シビアな時代になったもんだと思わざるを得ない。

その後4時頃からしんきんプラザ向かいの広い歩道スペース(旧中横町イベント広場と言うらしい)でストリート音楽会と称して本荘高校吹奏楽部による演奏が始まった。
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その後も市内をぶらぶらと散策
蕎麦処「せい吉そばや」の駐車場に大名行列の際の道具が置かれていた。
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また、駐車場内には大名行列に関する説明板が設置されている。
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説明板を拡大
大名行列と道具の説明が書かれてある。
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5時頃になると駅方向からお囃子の音が聞こえてきた。
各町内の山車披露が始まっていた。
正確には6時開始なのでまだ始まっていないが、出発準備をするなかで早くも人が集まってきていたのだった。
こちらは東町の山車
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飾りが「シンゴジラ」
つい最近の映画だが、早くも着想を得たのだろう。
また、目の部分が光っておりそれなりに手のかかった山車であることが分かる。

と、ここで予期せぬ事態が‥
雨が降ってきたのだ。
天気予報では雨などと一言も言ってなかったが、ポツリポツリと降ってきてしまいには本降りになってしまった。
傘を用意していなかったため、どこかのお宅の軒下にしばし避難する。
結局このあとは小雨が降ったり止んだりの状態を繰り返すのだった。
今日は雨は降らないと見込んで傘を持ってきていなかった判断の甘さを悔やんだが、それ以上にせっかくのお祭りが雨で文字通り水を差されることにならないか懸念する。

そうこうしているうちに山車の運行開始時間である6時を迎える。
お囃子が聞こえたので、音のする方向に向かうと小雨のなか運行していた山車があった。

夏のお祭りとは違い、暑くもなく寒くもないなかでの山車運行(谷地町でよいのかな?)
これが一ヶ月前であれば、もっと熱狂的な雰囲気を帯びるのだろうが、秋のお祭りで見る山車というのもいいものである。
今年の由利本荘は大河ドラマ「真田丸」の影響で真田ゆかりの地として大いに売り出したが、山車についている旗もそれ関連である。

少し移動すると今度は別の山車に遭遇
よく見ると先ほどのシンゴジラのそれだった。
こちらの山車はとても元気がよいうえ、シンゴジラが起き上がったりとなかなか魅せる作りになっていた。

その後雨が再び強くなったので、近くのスーパーで小休憩
さすがに昼過ぎから街中をウロウロし続けていたので疲れているのが自分でもわかる。
これが夏真っ盛りの時期だったら、すでに夜のお祭りが始まる前に疲労困憊だったろう。
その後大名行列が行われるしんきんプラザ周辺に戻る。

ここでも山車の運行が行われていた。
こちらは「後町・猟師町」
ねじり鉢巻姿のジバニャンが飾られていて、子供が喜びそうな山車である。
踊り手がついているうえに、山車のなかも舞台となっていて小さな女の子たちが可愛らしく踊っているのだった。
因みに、宵宮については大名行列の行われる通りに全ての山車が集まるというものではないらしい。
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時間は7時を過ぎて、あとはお目当ての大名行列を待つばかりとなる。
行列に参加する人たち(本物の大名行列においては「奴(やっこ)」と呼ばれていたらしい)の往来が活発になり、いよいよ始まるかあ‥と思っていたその矢先、いきなり土砂降りの雨が降ってきた。
これはたまらん、と軒先に避難
陣笠を被った子供たちも大切な行列衣装を濡らしては大変、と雨宿りをしたのだった。
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行列開始の7時半になると、運良く雨足が弱まる。
そして大名行列がはじまった。
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先程から大名行列が‥といろいろ説明しちゃっているが、正確にいうと宵宮に開催される大名行列は「足ならし」ということになる。
文字通り明日の本番に備えての足慣らしということなのだろう。
明日の本祭には八幡神社から移動するということなのでちょっとした距離を歩くことになるが、今日はしんきんプラザ交差点付近のごく短いルートを歩く。
距離にすると200mぐらいか。
たしかにこの歩き方だと速くは進めないし、そんなに長い距離は歩けない。
だが、行列に参加する奴(やっこ)たちは結構真剣なのだった。
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激しい動きがないもののその分たいへんそうだ。
おそらく一本足で立っているときにバランスを崩して両足をついてはいけない、とか道具を落としてはいけないとかいろいろルールがあるのだろう。
この独特の歩き方は奴振りと呼ばれており、大名行列が宿場町に入るときや国入りのときなどに披露されるらしい。
それがちょっとした見ものになり、やがて祭礼行事に取り入れられていったとのこと
ちなみに奴振りをしていないときの大名行列はフツーに早歩きだったようだ。

子供たちは大人に手を引かれて行列に加わる。

この行事は本荘八幡神社祭典の1つとして行われるが、2012年には人が集まらずに参加が見送られている(祭典は行われたが、大名行列は行われなかったということ)。
そういった意味でも地域の子供たちに行事を伝えるというのは大切である。
8月には仙北市角館町白岩地区の伝統行事「白岩大名行列」が18年ぶりに復活したし、湯沢市の愛宕神社祭典の大名行列が今年から開催月を9月に変更したりといろいろな動きがあった。
この本荘の大名行列は100年以上の歴史があるという。
地域の風物詩ではあるものの、いろいろと運営には苦労が伴うのだろう。

大名行列は一旦終点に着いたあとに小休止を入れて、折り返し進み出す。
小休止中には小さな撮影会が行われる。
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雨で通りが濡れている。
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折り返し行進が始まる。
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往路の際よりも観客が減っているが、今日は宵宮ということで明日の祭典当日にはたくさんの人が集まるのだろう。
大名行列自体がお囃子に乗って行進するとかいうものではないので盛り上がるということはないが、ある種厳粛な空気が漂う。
行列を「楽しむ」というよりも「見守る」といったかんじ
なお、観客が行列の前を横切ったり、家の2階から行列を見下ろすといったことは禁忌とされているらしい。

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8時15分に行列が折り返しを終えて、大名行列終了
その後は再び山車の運行が始まる。
中町の山車

田町の山車
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その後も小さな山車がいくつか運行
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8時半すぎには山車の運行も終わり、これで宵宮は終了となる。
大名行列の復路進行のときからポツポツと観客が減っていたので、終わった!というかんじはない。

湯沢市の大名行列はある程度風物詩として定着しているし、白岩の大名行列には秋田市内の大学生たちが参加するなどのテコ入れがあったようだが、本荘の場合実際に祭典へ参加ができなかった年もあったように今後も関係者の方々の尽力が必要になると思う。
それでもしんきんプラザで開催されていた写真展を見に来られた人たちは一様に「懐かしいね」と話されていて、愛着ある郷土の行事であることに変わりはない。
是非、由利本荘中心地の街中で行われるこの厳かな行事を今後も続けていってほしい。
そして、今度こそは本祭を見に行きたい!と思う。


“本荘八幡神社祭典・大名行列(宵宮)” への10件の返信

  1.  まいど岸和田のいわねえです。
    大名行列が有名やけど、山車の写真見たことがなかったので嬉しかったです。 
     さて去年10月に由利高原鉄道に乗るのも兼ねて本荘に2泊しました。飲食店に山車のことを聞くと昔は多かったけれど、台数が減ったとおっしゃいましたが、現況はどうなんでしょうか?

    1. いわねえさん
      コメントありがとうございます!
      由利本荘市に来られたんですか!?それは遠路はるばる(ですよね?)お疲れ様でした。
      由利鉄、楽しまれましたか?
      さて、本荘八幡神社祭典ですが、昨年は行ってきました!
      たしか山車はちょうど10台出ていたと記憶しています。
      たしかに一時に比べると台数は減ったようですが、スケール感十分で楽しかったですよ。
      いずれ当ブログでもその様子をお伝えできると思います!

  2. こんにちは。八幡神社の神事について質問させていただきますが、この時八幡神社では巫女舞が奉納されたそうですが、その後に男性神職が剣を使った舞を奉納したりしていましたか?どうか覚えている範囲でよろしいのでご回答よろしくお願いします。

    1. 秋田の寺社巡り人さん
      こんにちは。ご質問の件ですが、記憶では男性神職の剣の舞はなかったように思います。(あまり覚えていませんが‥)
      間違っていたらすいません。よろしくお願いします。

      1. そうでしたか。わかりました。ご回答ありがとうございます。
        今後も活動、頑張って下さい!
        記事の更新を毎回楽しみにしています!

        1. 秋田の寺社巡り人さん
          こんばんは。
          あまりお役にたてず申し訳ございませんm(_ _)m
          拙い記事ばかりのヘタレなブログですが、お付き合いくださいませ!

  3. こんばんは!
    今更ながらこの投稿を見つけ
    見させて頂きました!
    わたしはジバニャンの山車の町内で
    踊り子をしていた者です YouTubeも見て、え、のってる!すご!と思っていました!また今年も見に来てください!

    1. 踊り子さん
      コメントありがとうございます!
      大名行列前の山車の運行、見ましたね~
      手踊りや手ぬぐい踊りなどいろいろ披露してくださったのを覚えてます。
      今年は本祭も見たいと思っているので、頑張って踊ってください!

      1. ありがとうございます!
        私自身は昨年で踊り子引退だったので今年からは若者としてでるのですが私の後輩たち綺麗な踊りを見せてくれることでしょう。。今年もぜひ見に来てください

        1. 踊り子さん
          今年から「若者」になるんですねー。
          これからは後進の指導にあたるかんじですかね?
          踊り子さんの育てた後輩の皆さんの素敵な踊りを是非見に行きます!

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