金神神社のネギミソ祭り

2016年10月16日
(注)このお祭りは10/15 17時~宵宮、10/16 14時~本祭が開催されましたが、この記事で取り扱っているのは10/16の本祭に向けての準備だけです。
祭り本番に関するレポートはありませんのでご了承願います。

実りの秋の10月
管理人が足を運ぶような伝統行事はめっきり少なくなってしまい、代わりに週末ともなると観光型のイベントやお祭りが県内各所で開かれる。
そういったイベントにもそれなりに楽しめるのだが、このブログで取り扱うのはあくまで伝統行事のみ、ということである。
また、冒頭に書いたように、今回は管理人の確認の甘さによりお祭り本番に参加することができなかった。
そういった場合には記事にしない方針だが、今回特別に準備の模様を撮影させていただいたのと、祭りに参加されている方々といろいろ話すこともできたので記事化することとした。

この奇妙な名称を持つお祭りが10/16・17両日にわたり開催されるという情報は、秋田の行事に関する管理人にとってのバイブルである「秋田の祭り・行事」からとうの昔に得ていた。
今年は10/16の宵宮に当たる日が日曜日でもあることから、宵宮だけ見てみようということを以前から計画していたのだった。
通常管理人は行事を訪れる際にはわりと入念に下調べをするのだが、「秋田の祭り・行事」ですでに概要を知っていること、家から車でほどなく着くことなどの理由からあまり事前リサーチに重きを置いていなかった。
ただ、タイムスケジュールだけは確認しておきたいとの考えから宵宮当日である16日朝に神社に赴き、ヒアリングすることにした。

家からは本当に10分で神社に着いた。
秋田を代表する繁華街、川反からすぐ近くのロケーションながら事前に見ていた写真から判断するに、非常に規模の小さい神社のようだったので迷ったらどうしようとの思いもあったが、現場付近に行くとお祭りの旗が立てられて良い目印となっており、すぐにたどり着けた。
ちなみに金神神社と書いて「かながみ」神社と読むのが正しいと思っていたのだが、google mapなどの表記などは「金神社」となっている。
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どうやら中に人がいて何やら動いている様子
いきなりの訪問ってやっぱりまずいのかなあ?とか考えていると、一人のおばあちゃんが神社に歩いて近づいてきたので尋ねてみた。
「今日ってネギミソ祭りやりますよね?」
すると
「うん。2時からやるよ」との返事
通常宵宮は夜に、翌日の本祭は日中に開催されるのがセオリーなのだが、おばあちゃんの返事から明らかに「今日は本祭の日だよ」との意が読み取れる。
「あれ?16・17の開催じゃないんですか?」と質問したところ、「昔はそうだった。ただ、今は10月の第三土日曜日にやるのに変わったんだ」とのこと
今年で言えば、16・17日ではなく15・16日に開催とのことである。

自身の確認不足により完全に空振ったことを理解したのだった。
宵宮は昨日すでに終わっており、今日は14時~の本祭とのこと
「ならば14時~本祭に参加すればよいではないか?」なのだが、今日は北秋田市阿仁町で行われる伝統の「根子番楽」を見に行くことに決めていたので、ネギミソ祭りの観覧は無理!という結論に至らざるを得ない。
やってもうた感に苛まれている管理人に、おばあちゃんから「上がっていきなさいよ」との優しい言葉
せっかく来たのだし‥という思いと、なによりおばあちゃんの優しさからちょっとお邪魔させてもらうことにしたのだった。
おばあちゃんはこれから祭りの準備に加わろうと神社に向かっている最中だったのだ。

神社の境内の様子
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神社の中に上がると2時からの本祭に備えて4~5人ぐらいのおばあちゃん、お母さん方がせっせと準備をしていた。
準備といっても昨日宵宮を執り行っていて大体の掃除やら片付けなどは済んでいるわけだろうから、料理をしているといったほうが正確であろう。
神社の中は狭く台所も非常に小さかったのだが、それでもご婦人たちはせっせと手を休めずに料理し続けていた。
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昨日の宵宮にはネギミソと湯豆腐が参詣者に振舞われたとのこと
今日の本祭には鮭の醤油漬けと鮭の味噌汁が出されるそうだ。
念のためビデオカメラを持ってきていたので動画を撮ることもできたが、料理を撮影したところでただの料理動画になってしまうと思って撮影はしなかった。

これから調理されるであろう鮭の切り身
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こちらのお母さんはキャベツのおひたしの準備
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そうこうしているうちに地区の会長さん(男性)がお見えになられた。
鎌田さんとおっしゃる会長さんにいろいろ話を聞いてみる。

やはり、祭りのネーミングが気になるのでその由来を尋ねる。
「秋田の祭り・行事」によると「藩主が上鍛冶町(この近辺の町内)を訪れた時、ネギミソを献上したところ大変喜ばれた」、「以来祭典の宵宮にはネギミソが奉納された」と書かれているが、鎌田さんによるとこの近辺でネギと味噌が作られたとかそういうことではないが昔からそのように呼ばれていた、とのこと
秋田藩主にネギミソが献上され、現在でも参詣客に振舞われているというその繋がりが呼び名に表されているのであろう。
また、「藩主」とはおそらく秋田藩主佐竹公のことを指していると思われる。

祭壇の様子
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また「上鍛冶町」との町名から分かるようにこの近辺には以前鍛冶屋さんが多かったそうだ。
祭りの日は八橋の日吉(ひえ)神社から神職者を招いて神事を行うが、もともとは鍛冶金物関係者の多かった土地柄ゆえ事故なく鍛冶ができるようにとの安全祈願をするお祭りだよ、と別のお母さんから教えていただいた。
因みに今は町内に鍛冶金物屋は1件しかないそうだ。

神社の中の様子
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竿燈まつりの写真が飾られていた
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管理人が鎌田さんと話をしているあいだにもお母さんたちは料理の手を休めない。
鎌田さんはじめ何人かのお母さん方から「お祭りに来ればいいじゃない~」と声をかけていただいたが、このあと用事があるので‥と固辞させてもらった。
あとで開催日についてネットで調べてみたところ、いくつかの秋田県2016年イベントスケジュールサイトでは10/15・16日開催としっかり書かれており、管理人がきちんと確認していなかったのが空振りの原因だったのが分かった。
こういう小さな行事を取り上げてこそ当ブログ「秋田の小さな祭りたち」の存在意義があるのだと思うが、今回はこの後の根子番楽を見に行きたいと思う。

ご婦人たちの料理は続く。
今日はだいたい20人ほどに振舞われ、子供にはお菓子も合わせて振舞われるそうだ。
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そろそろ根子番楽に出かける支度をしなければならないということで、30分ほどお邪魔させていただいたのちに撤収
この日は終日天気がよく、鎌田さん、おばあちゃんたち、お母さん方、参詣者揃って楽しい日曜日の午後を過ごせたのではないだろうか。
それにしても、おそらくたいへんなグルメであったであろう佐竹公(根拠はありませんが、そんな気がしませんか?ネギミソに湯豆腐というシンプルさが逆に新鮮だったのかな?)がたいへん喜んだというネギミソ
いつかは管理人もご馳走にあずかりたいと思いながら、街中にひっそりと佇む金神神社をあとにしたのだった。


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