和田の作踊り2017

2017年8月17日
ここのところ、ほぼ毎日盆踊りに出かけている。
そして今日も‥というかんじでお邪魔したのが「和田の作踊り」
この踊りは昨年も訪問したので2年連続の鑑賞となる。
本来「作踊り」は「盆踊り」とは区別されるものらしいので、小野和哉さんの著書「今日も盆踊り」になぞらえると「今日は作踊り」とでもなろうか。
そのへんの作踊りの歩んだ歴史については後述したいと思う。

昨年初めて和田の作踊りを観覧したときのことはよく覚えている。
日中に大雨が降ってしまい、踊りの開始時間である7時半を迎えても会場の設営が終わらずに、管理人も手伝ったりしたのも楽しい思い出だ。
和田本町通りを4~50人の地元の方々が楽しそうに踊っている様はまさしく「秋田の小さな祭り」
その踊りを再度体験しようと、踊り初日である8月17日(翌18日の2日間に渡って開催)の仕事のあとに秋田市の南東に位置する河辺和田へ向かった。

時刻は7時すぎ
奥羽本線和田駅前ロータリーに車を止めて、会場となる本町通りに向かう。
去年はたしか通りの入口に警備の方がいたが、今年はいない。
そして通りを歩いてみるが、全く人の姿が見当たらないし、そもそも踊りが行われる雰囲気が感じられない。
「去年も踊りの始まる直前から会場設営したぐらいだし、これから人が集まるんだろー」などとも思ってみたが、いやこれは違う。
もしかして中止になっちゃった?

通りを車で通過しようとしている男性が車を降りてきたので、作踊りの開催について尋ねてみる。
今年は本町通りではなく、すぐ近くの河辺総合福祉交流センター駐車場で行われるとのこと
ホッと一安心、よかったあ(^0^)
また、その男性は管理人がyoutubeにあげた作踊りの動画をご覧になったそうで「今年も来てくれたんですね!」と声をかけてくださった。
はい。今年も来ました。いやー、こう言っていただけるのは本当に嬉しいです。
本町通り沿いの民家に貼り出されていた掲示を見たら、しっかり会場について書かれていた。

本町通りから歩いて5分ほどで河辺総合福祉交流センターへ到着
おー、明らかに去年より人がたくさん集まっている。
駐車場隅に設営されたテントを覗くと、昨年お世話になった菓子店「松月堂」の佐々木さんがいらっしゃった。
お久しぶりです!!(青いシャツ姿の方です)

佐々木さん曰く「今年は新しい試みをしてみようということで、会場も変えてみたんだよ」とのこと。意欲的で素晴らしいと思います。

そして7時半になり、踊りが始まった。

ここの踊りは、曲が変わるごとに時計回り⇔反時計回りを繰り返す特徴がある。
ということでまずは反時計回りでスタート
踊りの輪の中心には太鼓とミニ灯籠が置かれている。
盆踊り唄は「作踊り」「秋田節」「河辺音頭」の3種類がある。

そして「作踊り」


力強い太鼓の調べと優雅な振りの組み合わせが素晴らしい。
昨年鑑賞したときは細部まで見ていなかったのだろう、よく見ると腕を振り上げる際の手さばきがたいへん綺麗なのに今頃気づいた。
今年は練習会も開かれたようだし、踊り手の皆さんの踊りが心なしか去年よりレベルアップしているような気がする。

少し休憩が入る。
夜とは言え、この夏の時期に踊り続けるとやはり暑さで喉が渇いてくる。
ということで、本部横には飲み物を求める人が殺到
今年は用意していた飲み物が足りなくなってしまい、会場向かいのマックスバリュに追加の買い出しに出かける事態になったそうだ。

こちらが太鼓です。

太鼓は踊りの輪の中に2張据えられている。
唄、お囃子が音源で流されるなか、太鼓だけは生演奏が行われる。
結構な長さのバチを体全体で反動をつけて叩く様子は結構躍動的だ。

作踊りとは本来、豊作を祈願するための踊りであり、通常は盆踊りの延長戦のような形で、全国各地でだいたい8月20日頃から踊られていたらしい。
地域によっては8月下旬から9月上旬ぐらいまで踊っていたところもあったようだ。
盆踊りの延長というだけあって、踊り、お囃子ともに盆踊りと全く同じものだったということだが、現在は盆踊りに吸収されており、少なくとも管理人はここ和田以外に「作踊り」が残存している地域を知らない。
因みに9月中旬に能代市二ツ井富根で行われる「富根報徳番楽」は「作番楽」とも呼ばれている。
こちらのほうは作休みの時期、近隣の農民たちが稲刈り前の娯楽として番楽を楽しんだことに由来する、と云われている。

しばしの休憩の後踊りが再開
こちらは「秋田節」


管理人は知らなかったが、秋田節は戦後になってから唄や伴奏が整えられた、かなり新しい民謡なのだそうだ。
たしかに歌詞を読んでも意味の分からない言葉などはなく、どことなく近代的(現代的ではない)薫りがする。

そして作踊りへ続く。


昨年初めて作踊りを鑑賞したときに松月堂の佐々木さんより教えていただいたのが、土崎盆踊り(ドンドコドッケ)との類似性である。
佐々木さんが指摘していたのが、ドンドコドッケと和田の作踊りの譜割りの共通性だった。
テンポが全く違うので一聴しただけでは分かりづらいが、確かに同じである。
また、踊り自体も、両手を左に振る ⇒ 両手を右に降る ⇒ 両手を前に突き出す ⇒ 手を打つ、が基本の振りとなっており、どうやら同じようだ。
他にも、8月15日に鑑賞した男鹿のダダダコや八郎潟町一日市盆踊りのキタサカなど、同じような振りを持つ盆踊りが南秋~秋田市北部にかけて広く分布している訳だが、ここ河辺和田は秋田市南部にあり、大仙市(旧協和町)に程近い地区である。
和田の作踊りがどういう経緯で、それらの盆踊りと同じ振りをするようになったかはよく分からない。
因みにドンドコドッケはこんなかんじ↓


浴衣については、黄色を基調としたもの、白地に濃紺の波模様をあしらったもの、白地に水色の波模様をあしらったものの3種が確認できる。
和田本町には上・中・下の各町があり、おそらく町内ごとにお揃いの浴衣を着ているのだと思う。
今回の統前町は下町だが、上町は熊野神社祭典を仕切り(作踊りは祭典の日に行われる)、中町は祭典の幟や旗を立てる、といったように準備を分担して行う取り組みも今年から始められたらしい。

続いては「河辺音頭」


いわゆる「ドドンガドン」のリズムで唄われる音頭であり、踊る楽しさ、乗りやすさでは随一であろう。
心なしか太鼓奏者たちからも楽しく演奏している様子が伝わってくる。
この音頭は旧河辺町時代に作られたそうだ。
2014年には同じ旧河辺町内の、河辺岩見の「岩見音頭」と「豊年音頭」が地元の年配の方々の熱望に応える形で復活を遂げた。
秋田市に合併とはなったものの、旧河辺町は決して都市部に属している訳ではなく、よって若者で賑わうような地域ではない。
そんな中でも自分たちのアイデンティティに忠実に、「良いものは良い」とかつて町の象徴だった唄が再び日の目を見れたことは本当に喜ばしいことだったに違いない。

またまた休憩
ミニ灯籠の明かりが仄暗く美しい。

子供たちが休憩の合間に太鼓叩きに集まる。
「太鼓の達人」で子供たちにはお馴染みの楽器ということなのだろうか。

休憩中に何人かの踊り手の方かた「去年も来ていたでしょ?」と声をかけられた。
はい、今年もお邪魔しています。
秋田市内で気軽に観覧できる盆踊りであることから、来年以降も来るような気がする。
またよろしくお願いします!!

まだまだ踊りは続く。

そして本日最後を飾る踊り
もちろん作踊り


何でも今年は250名ほどの踊り手が参加したらしい。
中でも子供たちが多数参加していることは佐々木さんはじめ、作踊りの存続に尽力された皆さんには本当に嬉しいことに違いないと思う。
子供たちの「そーれーっ!!」が響き渡っている。


踊りは優雅だが、太鼓の音色はあくまでも力強い。
このギャップがこの踊りの一つの見せ所ではないだろうか。
そしてベースとなっているのは「豊年祈願」の想い
農作物の生育が人の生き死にに直結していた時代は遥か昔のこととなってしまったが、かつての人々が味わった苦労を忘れてはいけない、と自らに言い聞かせる心は、盆に帰ってくる祖先を迎える心と通ずるものがあると思う。

時刻は8時50分
これで本日の部は終了
飲み物を求めにたくさんの人たちがテント脇に集結

管理人も佐々木さんはじめ、作踊りについていろいろ説明してくださった下町の統前長さんに挨拶を述べて会場をあとにした。
(今年もちゃっかり景品のボックスティッシュをいただいてしまいました。ありがとうございました!)

2回目となる和田の作踊り
初めての観覧だった昨年と大きな違いはないだろう、と現地に行ってみたところ、会場のスケールも参加人数の規模も大きくなっていた。
(当ブログにたびたびコメントをお寄せいただいているふじけんさんのご指摘によれば、以前も河辺総合福祉交流センターで行ったことがあったらしい。ふじけんさん、情報提供ありがとうございました!)
また、参加者層も子供から年配まで幅広く、来年以降更にスケールが拡大する可能性もありそうだ。
太鼓の櫓を中心に踊りの輪が広がり、その周りを更にたくさんの屋台が囲み、多くの人たちが楽しめる盆踊りになれば最高だろう。
「和田の作踊り、ここにあり!」これからも応援したい。


“和田の作踊り2017” への2件の返信

  1. “和田の作踊り”以前伺った時より活気がありますね!
    動画では踊りを教えてくださった方も映っていて、また訪れてみたくなりました。

    1. ふじけんさん
      コメントありがとうございます!
      和田の作踊り、いいですよねー
      今年は踊り手がたくさんいて盛り上がりましたよ!
      そして子供たち、若い人たちが練習の成果を発揮しようと一生懸命踊っていたのも盛り上がった要因だと思います。
      ふじけんさんも是非再訪くださいませ!

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